Miles Scientific (旧Analtech)
TLC プレート概要
UNIPLATES™ 概要
シリカプレート(ガラス支持体)に使用されるコード一覧
Miles Scientific (旧Analtech)社は様々な担体を使用したTLCプレートを幅広く製造しています。各種シリカゲルの修飾については、下記のアルファベットコードの組み合わせで担体の種類を識別しています。
UNIPLATES™ 担体コード
H | バインダー(固着剤)フリー |
---|---|
G | (石膏)硫酸カルシウム半水和物バインダー(固着剤)を使用 |
HL | ハード(硬質)層、有機バインダー(固着剤)を使用 |
GHL | ハード(硬質)層、無機バインダー(固着剤)+(石膏)硫酸カルシウムを使用 |
F | 蛍光指示薬付(UV254) ※全ての担体に付加することが可能です |
HPTLC | High Performance TLC)高性能薄層グロマトグラフィー |
RPS | 炭化水素含浸(シリカゲル)逆相分離 |
RP2 | エチル修飾シリカゲル(逆相)-HPTLC |
RP8 | オクチル修飾シリカゲル(逆相)-HPTLC |
RP18 | オクタデシル修飾シリカゲル(逆相)-HPTLC |
CN | シアノ修飾シリカゲル(順相)-HPTLC |
NH2 | アミノプロピル修飾シリカゲル(順相)-HPTLC |
シリカゲルG:(石膏)硫酸カルシウム半水和物バインダーを使用したシリカゲル
シリカゲルHLF:ハード層のシリカゲル、有機バインダーを使用、蛍光指示薬付
未修飾シリカプレート(ガラス支持体)4タイプの特徴
Miles Scientificでは、4タイプの未修飾シリカプレートを製造しています。それぞれのプレートは層の硬さやバインダーの材質が違うため、使用できる移動相(展開溶媒)や検出(可視化)方法も異なります。各タイプのプレートの特徴を理解した上で、アプリケーションに最も適したプレートを選択してください。
ハード層 | ソフト層 | |||
---|---|---|---|---|
タイプ名 | シリカゲル HL/HLF |
シリカゲル GHL/GHLF |
シリカゲル G/GF |
シリカゲル H/HF |
シリカ孔径 | 60Å | 60Å | 60Å | 60Å |
シリカ 粒子径 |
8~10µm | 8~10µm | 8~10µm | 19µm |
バインダー (固着剤) |
有機性ポリマー(特許) | 硫酸カルシウム(石膏/無機性)と 無機性硬化剤(特許) |
硫酸カルシウム(石膏/無機性) | 不使用 |
硬さ | 200~400 鉛筆での筆記が容易 |
80~160 鉛筆で優しくなら筆記が可能 |
20~40 | 1~8 |
溶媒耐性 | 一般的なクロマトグラフィー溶媒全般 水80%まで |
一般的なクロマトグラフィー溶媒全般 水100%まで |
一般的なクロマトグラフィー溶媒全般 水20%まで |
一般的なクロマトグラフィー溶媒全般 水20%まで |
検出法 | 呈色試薬全般〇 硫酸と加熱✕ スプレー噴霧〇 ディッピング〇 特定の酸性試薬✕ |
呈色試薬全般〇 硫酸と加熱〇 スプレー噴霧〇 ディッピング〇 |
呈色試薬全般〇 硫酸と加熱✕ スプレー噴霧〇 ディッピング✕ |
呈色試薬全般〇 硫酸と加熱✕ スプレー噴霧〇 ディッピング✕ |
特徴 | 最も頑丈なプレート。 移動相や呈色試薬との耐性に問題がなければベストチョイス。 |
適度な硬さと頑丈な表面を持つ。移動相や呈色試薬への制約は本質的になし。破壊的検出法にも使用可能。 | 『古典的』プレート。 シリカ層が柔らかく、スポットやバンドの掻き取るりが容易。分離成分を溶出して他の分析で使用する為に使用されることが多い。 |
バインダーを使用していない為にシリカ層が極めて柔らかく、取扱いが難しい。分析成分がシリカ以外の物質に反応してしまう等、特別な理由がない場合にはお勧めできないプレート。 |
層厚
一般分析用 TLC | 250µm |
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分取用TLC | 500~2000µm |
分取用テーパー付TLC | 濃縮ゾーン:700µm、300µmから1700µmへくさび型に傾斜 |
高性能TLC(HPTLC) | 150~200µm |
サイズ
一般分析用 TLC | 20 × 20cm、10 × 20cm、5 × 20cm、2.5 × 10cm、2.5 × 7.5cm |
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分取用TLC | 10 × 10cm |
上記がスタンダードなプレートサイズですが、20 × 40cmなど、対応できる範囲内でのカスタマイズも可能です。
濃縮ゾーン付 UNIPLATES™
- 3cm幅のサンプルアプライゾーン付
- プレート上でサンプルスポットを濃縮
- サンプルの前処理やアプライが簡単
- クロスコンタミを防ぐ溝付もあります
濃縮ゾーン付 UNIPLATES™には、プレートの下端に沿って不活性な3cm幅のスポッティング用のゾーンがあり、プレートの展開を開始するまでサンプルスポットをホールドします。このゾーンでは固定相によってサンプルが著しく分離することはありません。
溶解性成分は全て溶媒フロントと共に移動し、広がっていたサンプルスポットは縦に狭いバンドに濃縮されます。
サンプルスポットのサイズや位置に関わらず、どんなサンプルでも狭いバンドで濃縮される為、スポッティング技術に左右されない分離や感度を実現します。
切込付 UNIPLATES™
ほとんどのUNIPTALES™で、ガラスの支持体に切込のついたタイプもあります。
簡単に指で割って分割できるので、一枚のプレートを複数の異なる分析に使用することも可能になります。また、スポットして展開した後に分割して、異なる検出方法で使用することも可能です。
UNIPLATES™の切込幅は下記の2種類です。
1)20 × 20cmプレート
5cmごとに3本の切込があり、5 × 20cmのプレート4枚か、5cmの倍数幅のプレートに分けられる。
2) 10 × 20cm プレート
2.5cmごとに7本の切込があり、2.5 x 10cmのプレート8枚か、2.5cmの倍数幅のプレートに分けられる。
溝付 UNIPLATES™
濃縮ゾーン付を含む各種担体やプレートサイズで溝付のUNIPLATES™を選択できます。
これらのプレートは9mm幅の担体が1mm幅の溝によって仕切られています。
溝の部分は担体が取り除かれているので、クロスコンタミや展開時のサンプル成分の拡散を防ぐことが可能です。
分取用切込付 UNIPLATES™
分取用切込付プレートは、分取TLCにおいて分離成分の展開位置を特定する際に破壊的検出法が必要となる場合に最適です。
左右の端から2.5cmの箇所に垂直方向に切込がついているので、簡単に指で折って切り離すことが可能です。
展開後に両端を中心部分から切り離して検出法を用います。可視化が完了したら、中心部分と平行に並べて、必要な成分の展開位置を確認し、その部分を掻き出して回収することが可能です。
テーパープレート(UNIPLATE-T™)
UNIPLATES-T™テーパープレートは、Miles Scientific社の特許製品です。この分取プレートの吸着層では非常に高い分解能を実現します。吸着剤の層は底(300µm厚)から上部(1700µm厚)にかけてテーパー型に傾斜しています。300µm厚のシリカ層の下側には700µm厚の濃縮ゾーンが付いているので、サンプル添加が簡単に行えて、さらに高い分解能を実現します。サンプルは分解する前に濃縮ゾーンで濃縮されます。
テーパー型の吸着層では、通常の分取TLCの平坦な吸着層と比較してRf値のバンドは狭くなり、より遠くで分離します。展開溶媒の流れるパターンがより均一になるため、垂直方向へのバンドの広がりが抑えられます。これらの要素が一つになって、非常に高い分解能を可能にします。
TLCシート(プラスチック、アルミニウム支持体)
UNIPLATES™(ガラスプレート)以外に、軽量で壊れにくいプラスチックやアルミニウムを支持体としたTLCシートもあります。
TLCプレート(ガラス)とTLCシートの仕様比較
ガラス | プラスチック | アルミニウム | ||
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物 理 的 特 性 |
厚さ(概数) | 1.6mm | 0.2mm | 0.15mm |
重量、体積 | 高い | 低い | 低い | |
ねじり強度 | 最適 | 低い | 比較的高い | |
温度の安定性 | 高い | 耐熱 185℃ | 高い | |
割れやすさ | あり | なし | なし | |
ハサミでの切断 | 不可 | 可能 | 可能 | |
化 学 的 特 性 |
溶媒耐性 | 高い | 高い | 高い |
無機酸、濃アンモニアへの耐性 | 高い | 高い | 低い | |
水中におけるバインダーの安定性 | バインダーに依存 | とても良い | 限定的 |