TLCカタログ
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層に対して高い強度を持つ溶媒で前洗浄します。シリカ層の場合には、アセトニトリルやメタノールが使用されます。展開槽に2cmの深さになるように前洗浄用の溶媒のみを入れ、プレートを入れて最上部まで展開させます。ラックを使用すれば複数枚のプレートを同時に展開させることも可能です。この展開によって吸着されていた有機物はプレートの最上部に洗い出されます。プレートを取り出す際に汚染物質が寄せ集められているプレートの上側部分に印を付けておけば、上下を間違えて使用することを防ぐことができます。上下を間違えると、集められた汚染物質でクロマトグラフィーの展開時にプレートを汚染してしまうこととなります。(時間を節約したい場合には、夜間を利用してこの前洗浄を実施することも可能です。)汚染物質の集まっている上部に印を付けたプレートは、フュームフードに数分間入れて軽く乾燥させます。前洗浄したプレートを、90〜100℃で45〜60分加熱します。溶媒の残留物はサンプル化合物のクロマトグラフィーに影響を及ぼすため、前洗浄に使用した溶媒は完全にプレートの層から除去しなければなりません。また、保管中に吸着された湿気もこの加熱によって完全に除去します。プレートの前洗浄と加熱処理をすると、黄ばんでいた古いプレートが新品のように戻ります。尚、プレートの保管期間に関わらず、より厳密なTLCの分析手順として行う場合もあります。すべてのプレートを再生してベースライン状態に戻すことで、保管状態によって生じたわずかな不整合であっても排除するのに役立ちます。2)加熱処理4TLCプレートの保存TLCプレートの性能が経年劣化することは一般的に知られていますが、実際の使用可能な期間は吸着剤の種類や物理的な保存条件によって異なります。TLCメーカーとしての経験から保存期限を言及するならば、『平均的な』条件下で保管されている場合には、シュリンク包装されていないプレートの場合で9ヶ月、シュリンク包装されているプレートの場合で1年が妥当だと思われます。TLCプレートに使用されている吸着剤は極めて活性の高い物質のため、保存中に大気中から湿気や蒸気を吸着してしまいます。倉庫や保管室には雑多な蒸気が存在し、平均よりも湿度の高い場所として一般的に知られています。したがって、保管には厳格な管理が求められます。FIRST IN ‒ FIRST OUT :『先入れ先出し』がTLCには必須です!!在庫は最小限に留めることをお勧めします。在庫を減らして、オーダーのサイクルを短くすることで、常に完成したばかりの新しいプレートが届くことをお約束します。Miles Scientific社では、受注した80%を48時間以内に製造して出荷しております。皆さまの保管庫に過剰な在庫を置く必要はありません。万が一、9か月以上保管しているプレートが残ってしまっていても、まだ使用することは可能です。大気に触れている時間が長ければ長い程、プレートは多くの蒸気を吸着しています。吸着された蒸気は、時間が経つと変色して目視できるようになります。特にプレートの端に近い部分で黄色い変色がよく見られます。変色したプレートは2つの手順で再生することが可能です。TLCプレートの再生1)プレートの前洗浄

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